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2008年1月11日 (金)

誕生日に思うこと

今日は私の64歳の誕生日である。

64歳ともなると特別祝う気持ちもないが、一つの一年の区切りということか・・・

20歳台の頃、私は38歳まで生きられるか、38歳を超えて生きられるかとびくびくしていた。
38歳は、私の父が亡くなった年齢である。
父は、私が3歳の時に当時不治の病と言われた結核を患って入院し、私が10歳の時に病院で死亡した。 38歳だった。

先日食事をしながら見ていたTVで、俳優の中井貴一が、父であり俳優だった佐田啓二のことを話していた。 彼は自分が一歳のときに交通事故で父を失ったそうだ。
彼が一歳の時のことなので父との想い出は全く覚えていないけれど、しかし、深く父の存在を意識して仕事をやってきたそうだ。
同じく俳優だった父に、今の自分を見ていて欲しい・・という気持ちがあって、映画祭の表彰式に出席する時には、父の遺品を身につけて出席すると話していた。
また、父の亡くなった年齢を自分に重ねて、自分がその歳を越えたときは感慨深かったそうだ。

これを見ていて、幼い頃に父を失った人は、皆同じようなことを考えて生きているんだ・・と思った。 私も、何かにつけ父を意識する。
私の場合は、父の入院で生活を別にしたのが3歳の時だったので、少しは父の思い出は残っている。 本当にあったことなのか、空想していたことを錯覚しているのか、あるいは母から聞いたことが自分の思い出として残っているのかは定かではない。
・・父が裏の竹やぶから竹を切ってきて、七輪に炭をおこして、釣竿にするために竹をまっすぐに矯正していたことや、時計を見て時間を言ったらたまたま合っていて、えらく父が喜んで母に話していたことなど・・父の思い出として残っている。

正直、私の今迄の人生で、父から物質的に与えられたものは一つもない。
しかし、父がいたから私の今がある・・という意識は強くあって、節目節目には仏壇に手を合わせて父に報告をしている。

それにつけても、3歳の時から女手一つで私を育ててくれた母には、感謝という簡単な言葉では言い表せない気持ちである。
今から楽をしてもらおうという今、苦労をしてきた母は老人性痴呆症となって一人息子の私さえ判別できず、施設で生活をしている。
無念で、無念で、無念でならない。

64歳になった今、私は幸せに過ごしている。
若い頃あった辛いことなど、思い出の隅に追いやられて、今、生涯で一番の幸せを感じている。  口うるさいが、何かと世話をやいてくれる妻がいてくれる。
二人の子供は夫々独立して、孫も出来た。  二人の子供が学生のころ、将来きっと親孝行するから、海外旅行に招待するから・・・などと言って、学費や、旅行費用や、留学費用をねだられた時の約束は、実質的には果たしてもらっていない。 しかし、こうして夫々が、家族を大切にして日々生活してくれていることが、何よりの親孝行だと思っている。

そして同じように、私が幸せを感じて生きていることが、私の父母に対しての親孝行かと思う。

誕生日を迎えて、そんなことを思った。

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

Photo_8 夕方、息子のお嫁さん(Aちゃん)が勤めの帰りに立ち寄って、思いがけないプレゼントを持ってきてくれた。
バースデーカードと花束、それにお食事招待券である。
カードとお食事券は、心のこもった手書きのものだった。

Photo_10 Aちゃんは、まだ結婚してわずかなのによく私の誕生日を覚えてくれていた。
プレゼントも嬉しかったが、その気持ちが嬉しい。

妻は、赤飯と手製のケーキで祝ってくれた。

今日はとても嬉しい誕生日であった。

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コメント

お誕生日おめでとうございます。
人の数だけ人生がある、凄く当たり前の事だけど
たとえネットでも触れ合うと深く心に入ってくるものですね。
今に至るまでにご苦労もあったけど幸せだと思い過ごせる環境はきっといっぱい頑張ったからだと思います。
また一年happyに過ごせますように…
お体も充分にご自愛くださいね。

投稿: 夢眠 | 2008年1月11日 (金) 20時53分

わ~、今日はスロー人さんのお誕生日だったんですね?!
お誕生日、おめでとうございます。
奥様お手製のお赤飯とケーキ、素敵な誕生日になりましたね。
健康な身体で1つずつ年を重ねられるというのは、一番HAPPYなことだと思います。

ひめひめは何年か前からママの調子が悪く、そして昨年はパパの手術もあり、、、両親のことが心配で心配で仕方がありません。
でもそんな両親は、ひめひめが自分たちを心配するよりもダーリンと仲良く健康に過ごしてくれることを願ってくれています。
親って、子供が幸せに暮らしてくれることが一番嬉しいんですね。

スロー人さんはお子さんもそれぞれ独立し、可愛いお孫さんもいて、、、ご両親への思いは無念さもあるでしょうが、幸せな毎日ですね♪
最後に紹介されていたお嫁さんの手作りカードとお食事招待券、ほのぼのしていて何だかひめひめまでにんまりしちゃいました♪
後日、フルコースを食べに行くんですね。
今日のお誕生日の続きを後日しっかり楽しんで来て下さい。
本当におめでとうございました!

投稿: ひめひめ | 2008年1月11日 (金) 21時51分

スロー人さん、お誕生日おめでとうございます!
それにしても、早くにお父さんを亡くされて、お母さんもご苦労されたのでしょうね。
でも、今スロー人さんがお幸せなことはご両親も安心されているのではと思います。
息子さんのお嫁さんの素敵なプレゼントと奥様のお赤飯、ケーキ、嬉しい誕生日でしたね。
これからも悔いのないように健康に留意しつつ、楽しく過ごしていきましょう!
では。

投稿: よびばあ | 2008年1月11日 (金) 22時50分

お誕生日おめでとうございます。


誕生日をお迎えになって思われたこと、感慨深く読ませていただきました。私の父とダブってしまい、涙ぐんでしまいました。父もそうだったんだろうなと。母ひとり子一人で、(父も3歳くらいで父親と死別)母親思いのいい息子でした。

スロー人さんのお宅は、二人のお子さんも独立され、それぞれいいパートナーに恵まれ、何の心配もなく、お幸せなご家庭の様子が、予てから伺えていました。世話を焼いてくださる奥様とこれからもお幸せに。。。

佐田啓二さんが交通事故で亡くなられた日は、確かドラマの出演中だったような記憶があります。当時、高校生だった私は、題名は忘れましたがそのドラマ観ていましたので・・・

お嫁さんプレゼント心がこもってて嬉しいですね。スロー人さんの似顔絵、よく似てるんですかあ。

投稿: マーちゃん | 2008年1月11日 (金) 23時31分

朝からとても素敵な記事を読ませていただいて
心が喜んでいます。
小さい頃の思い出って 細切れなんだけどとても記憶に残ってますよね。
スロー人さんの人柄はいつもブログを通して感じていましたが
いろんな経験が人としての厚みを作ってきたんだなーと
今日は特に思いました。
お嫁さんも素敵な方ですね。
なんとも微笑ましい。
いろんな事に感謝できる人には おのずと幸せがやってくるんだな、って
実感しました。

お誕生日、おめでとうございます。
キラキラ光る素敵な年になりますように。

投稿: ジュリア | 2008年1月12日 (土) 06時04分

お話を読んで ぐぐっときました。
お父様を3歳で亡くされて 今日までがんばってきたスロー人さん。
そして 何よりがんばられたお母様。
ご両親にいつも感謝の気持ちでいるスロー人さん。
子供さんたちの幸せが 何よりだと幸せに思ってられるスロー人さん。
スロー人さんの絵には いつも優しさがあふれていると思ったら
こんな風な 年齢の重ね方をしてこられたんですね。
いいお話をありがとうございます。
勉強になりました。

お誕生日おめでとうございます♪

投稿: はいび | 2008年1月12日 (土) 07時09分

********** 夢眠さんへ **********
人の数だけ人生がある、、、良い言葉ですね。
人生の断片で同じような経験をされた方はいても、人生としてみた時には、人の数だけの人生なんでしょうね。
「苦あれば楽あり、楽あれば苦あり」といいますが、その時々を懸命に頑張ることが大切だと思います。
夢眠さんは私などと比べたら今から人生を築いていかれるんだと思います。悔いのない人生とするためにも日々一生懸命に頑張ってください。
ご忠告のように、健康には気をつけたいと思います。 ありがとうございました。

投稿: スロー人 | 2008年1月12日 (土) 09時55分

********** ひめひめさんへ **********
お父さんが昨年手術をされたことはブログで知っていましたが、お母さんも体調をくずされていたんですね。
子供が親を心配する気持ち、親が子供を思う気持ち・・すごく良く判ります。
ひめひめさんの優しい気持ちは、ご両親もすごく感じていることでしょう。
私も、長男の嫁のAちゃんの心ずかいをとても嬉しく思っています。
お祝いメッセージありがとうございました。

投稿: スロー人 | 2008年1月12日 (土) 10時07分

********** よびばあさんへ **********
誕生日の記事をアップしようと書きはじめたら、3行目辺りから思わぬ方向の内容に進み始めて、こんな記事になってしまいました。 自分の心だけに収めて置くようなことを記事にしてしまいましたが、読み返してみると、何かさっぱりした気持ちになりました。
これからも健康で楽しく過ごせるように気をつけたいと思っています。
お祝いメッセージありがとうございました。

投稿: スロー人 | 2008年1月12日 (土) 10時22分

********** マーちゃんへ **********
マーちゃんのお父さんも、母一人子一人の環境で育ったこと以前聞きました。 この記事で、お父さんのことと重ね合わせて読まれたんだと思います。
書き進むうちに思わぬ方向の記事になってしまい、書き直そうかと思いましたが、読み返してみると自分でも何か胸がつまる思いになって、そのままアップロードしました。
息子の嫁のAちゃんの心ずかい嬉しいです。
Aちゃんには悪いけれど、似顔絵あまり似ていません。
こんなにごっついおじさん顔ではないです(って自分では思っています)
・・・Aちゃん、ごめん、、

投稿: スロー人 | 2008年1月12日 (土) 10時39分

********** ジュリア先生へ **********
この頃は誕生日になると、父や母のことを思い出すようになりました。
この記事も、こんな内容の記事を書くつもりはなかったのに、書きはじめたら父母の思い出記事になってしまいました。
書き直そうかと思いましたが、そのままアップしたら、皆さんから思わぬ良いコメントを頂きました。 ご自分の現状や経験や考えと重ね合わせて読んでいただいたんだと思います。
今はジュリア先生が言ってくれているような立派な人間ではありませんが、そんな人になれるよう今からでも自分を磨いていきたいと思います。
お祝いのメッセージありがとうございました。

投稿: スロー人 | 2008年1月12日 (土) 11時11分

********** はいびさんへ **********
私もはいびさんのコメントを読ませてもらって、思わずぐぐっとしてしまいました。
つたない記事を、こんな気持ちで読んでもらったことをすごく嬉しく思いました。
私の人生をさらけ出すような記事でしたが、それを私の絵に繋げて感じ取ってくれたはいびさんに感謝します。 自分では何も感じずに描いていた絵が、そんなところに原点があったことを教えてもらいました。
お祝いメッセージと併せて、ありがとうございました。

投稿: スロー人 | 2008年1月12日 (土) 11時26分

スロー人の誕生日の記事を、
実は当方も今月末が誕生月ですので同世代として自分に置き換え読ませていただきました。
そうですね、ヤハリ誕生月等は、両親の事を思い出しますね。
早くに父君を亡くされましたら尚更にその想いが強いでしょうね、そして自分の父親の亡くなった年齢を強く段々と意識して来ますね(当方もだいぶんその年齢に近くなって来ました故に)
「現身(うつそみの) 去り人偲ぶ 窓の雪」  

投稿: 久米仙人 | 2008年1月12日 (土) 18時42分

********** 久米仙人さんへ **********
父が亡くなった年齢を意識するのは、幼い頃父をなくした人が思うことかと思っていましたが、男は一様にそんなことを考えるものなんですね。
また、自分の誕生日に、父母のことを思い出すのも、年を重ねてくると皆さん同じなんだな、、と判りました。 今までは、そのようなこと、思っていても人に話したこともありませんでした。
・・立派な一句、ありがとうございました。

投稿: スロー人 | 2008年1月12日 (土) 21時12分

今週末、こっつんの書いたお手紙とプレゼントを持って遊びに行きます。お誕生日はちゃんと覚えていたのに遅くなってしまった事をお許し下さい…
昨日、来年度入学児の保護者会に出席し「自分の娘もいよいよ小学生かぁ…」と時の流れを感じました。自分も確実に年をとっています…
幾つになっても頼りないわがまま娘ですが、今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
追伸:Kたんは今日、「じぃじっ」と何度も言っていました(*^^*)

投稿: ズン | 2008年1月17日 (木) 23時29分

********** ズンさんへ **********
歳をとると、物よりも心(思いやり)の方に動かされるものです。
簡単な事でも、真心が感じられれば心動かされます。
また、子供達が家族仲良く健やかな家庭を築いていれば安心するものです。
子供達を大切に育てていってください。

投稿: スロー人 | 2008年1月18日 (金) 14時20分

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