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2008年7月28日 (月)

油絵 ”門のある旧家”

先日、無性に古い家の絵が描きたくなって、自転車で探しに出かけた。

近在の古い農家がありそうな辺りを捜し歩いたが、今時は建て直した新しい家屋の農家の家ばかりで、なかなか思い描いたような古い家は見つからなかった。

狭い道を右へ左へと走っていたら、何処を通ってきたのか完全に道に迷った。
迷いながらも方向性だけを頼りに狭い道をよたよたと自転車を走らせていたら、ふと目の前に、藁葺屋根の農家の長屋が目に入った。
とても車が通れるような道ではなく、リヤカー一台がやっと通れるような道だった。

近づいてみると、長屋は藁葺きだが、母屋は立派な茅葺で、正面入り口には、巾は狭いながら江戸時代そのままと言った風情の門を構えた家があった。
屋敷内には、これもどっしりとした土蔵が見えた。
門から屋敷内を覗いてみると、庭や母屋は古いながら実に手入れが行き届いていることが伺えた。

探していたのはこれだ!と、思わず声が出そうになった。

家全体を見るにも道路の巾が狭くて、道を挟んだ畑に少し入り込まないと全容がつかめない。
ウロウロしていたら、屋敷内を主人と思われる人が見えた。 絵を描かせてもらうことをお願いしようと声を掛けようとしたが、驚いた。
その立ち居振る舞いは後光を放つような威厳があって、それに圧倒されて声が掛けられなかった。 実に、昔の剣豪はこんなだったろう思える威厳であった。
ダメと言われたら元も子もないとの考えも浮かんでいた。

イーゼルを立ててキャンバスを広げる余裕は完全に失っていた。
取り敢えず写真だけでもと思い、パシャパシャと10枚ほどシャッターを切った。
スケッチだけでもと思ったが、屋敷内を往復するご主人が気になって、そのまま引き返した。

         ↓ 門のある旧家  F8号
F8 帰ってから、記憶のあるうちにと、一気に描き上げたのが、この一枚の絵である。

後でこのことを知人に話したら、この家は市の文化財に指定されている屋敷だと聞いた。
なるほど・・と納得。  あのご主人も含めて文化財のような気がした。

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コメント

田舎では大きな家でも門を構えてるところがないんですよ~
地方色が出る風景なんだって昨年、訪れて思いました。

投稿: 夢眠 | 2008年7月28日 (月) 19時48分

********** 夢眠さんへ **********
夢眠さんのご両親の田舎は確か九州でしたね。
地方によって、家の建て方や、屋敷の構え方が違いますね。
関東地方は、田舎の古い家は立派な門を構える家が多いです。
それにしても、自転車で行ける近さに、こんな立派な
昔然とした家・屋敷があることに驚きました。
映画にそのまま映しても江戸時代になりそうでした。
ズーットこの家を守ってきた家の人も立派ですよね。

投稿: スロー人 | 2008年7月28日 (月) 21時05分

絵を描かれるのも、お暑い中苦労されて、想い描く景色を探されているのがよく分かりました。

今、昔のまま残っている家は本当に少ないですよね。残す為の苦労も相当なんでしょうね。

うまく探しあてられた家は、市の文化財でしたか。旧家の感じがよく出ていますねup

投稿: よびばあ | 2008年7月28日 (月) 21時24分

********** よびばあさんへ **********
この日は丁度涼しい日だったので、狭い道を予想して
自転車で出かけたものです。
これだけ昔の面影を残しておくには相当な苦労があるんだと
思います。
そんなことを感じたので、ご主人が近寄りがたい威厳を
発しているように思ったのかも知れません。
文化財だと教えてくれた人の話では、このお宅では
未だにかまどでご飯を炊いていて、燃料は藁だそうです。
真偽の程は定かではありませんが・・・

投稿: スロー人 | 2008年7月28日 (月) 21時41分

うわ~うまい!
描きたいモチーフを探しぬかれただけあって
いい作品にできあがっていますね。
古いお家で 重厚感が 伝わってきます。
スロー人さんて ほんと うまいな~!

投稿: はいび | 2008年7月30日 (水) 07時12分

へぇ~、このお家の写真を撮るまでのお話、何だか小説みたい(笑)
道に迷って辿り着いたお家ですよね。
いきなりこんな旧家があらわれたら、一瞬、タイムスリップした気分になりませんでしたか??
出来上がった画を旧家のご主人に見せようと、後日自転車を走らせウロウロしたが、その旧家は一向に見つからなかった・・・なんてなったら、本当に小説の世界ですね(笑)

市の文化財に指定されているんですかぁ。
きっとあのご主人が、普段から丁寧に手入れしているんでしょうね。
こういうものを長く残して欲しいなって思います。

それにしても、今回の画も素敵ですね~good
“道”シリーズの次は“門”シリーズなんて、どうでしょう?あははっ。

投稿: ひめひめ | 2008年7月30日 (水) 17時43分

********** はいびさんへ **********
そんなに褒めてもらうと、ちょっと有頂天になります。
展覧会で見た古い家の絵に刺激されて、こんな家を描いて
みたくなったものです。
考えていた以上に、古くて立派な家でした。
忘れないうちにと、一気に描きあげました。

投稿: スロー人 | 2008年7月30日 (水) 22時07分

********** ひめひめさんへ **********
絵のことよりも、モチーフを探して歩いたことの方が
主になってしまった今回の更新記事でした。
考えていた以上の立派で古い家だったので驚きました。
このモチーフ探しにはその後の続きがあって、写真を
撮った後、来た道と反対側に薄暗い細い道を自転車で走ったら
ほんの200mくらいで、突然広々とした見沼田んぼに出て、
その場所は、ボタンの花で有名な総寺院というお寺でした。
このお寺のボタンは毎年見に来ていた場所だったんです。
何だか宮崎駿の「千と千尋の神隠し」の世界ような不思議な
感覚でした。
だから、ひめひめさんのすごい想像力には驚きました。

今は、門シリーズではなくて、こんな暑さだからかどうか
涼しい林の木陰を求めて、林シリーズの絵を続いて描いて
います。 個展が近づいたからか、絵への気の入れ込みが
強くなっていて、5日に一枚のピッチで描いています。

投稿: スロー人 | 2008年7月30日 (水) 22時34分

へぇ~、写真を撮った後の続きのお話があったんですね。
うんうん、まさに「千と千尋~」の世界ですね、これって。
スロー人さん、不思議な(?)1日を過ごされたんですねぇ~。

関係ありませんが・・・ボタンで有名な総寺院、知りませんでした。ボタンの季節にスロー人さんの描いた総寺院を見てみたい気がします♪

5日に1枚ですか、超ハイピッチですね。
頑張ってくださいwink

投稿: ひめひめ | 2008年7月31日 (木) 18時50分

********** ひめひめさんへ **********
アップした本文は、書き始めたらえらく長文になって
しまったので、書きませんでしたが、剣豪の武家屋敷の
世界から急によく行く現実の世界に戻ったような、感動を
覚えました。
本文からそんな雰囲気を感じ取ったひめひめさんの感性に
チョットビックリしました。

いつか気が向いたら、総寺院のボタンの風景を描いて
みたい思います。

投稿: スロー人 | 2008年7月31日 (木) 21時40分

今回はちょっといつもと違って
まず 古い民家が描きたくなって
その題材を探す旅(!)に出るところから
始まったのですねー!
読みながらワクワクする展開でした。
声がかけられなかったのも すごくわかります。
私も絶対に無理だと思います。

そして記憶が新しいうちにと
一気に描き上げたとのこと・・・
素晴らしいですね。
声がかけられなかった お宅のご主人に
是非見せてあげたいです。


投稿: ジュリア | 2008年8月 2日 (土) 15時01分

********** ジュリア先生へ **********
ある絵画グループの絵画展を見た時、古い民家の絵があって
その印象が残っていて急に描きたくなったものです。
ご主人には何か威厳というか、オーラみたいなものを感じて
声が掛けられなくなりました。
本当に昔の剣豪はあんな近寄りがたい雰囲気を発して
いたんだろうな・・と感じました。

本当に、この絵を見せたら何と言うでしょうね。
「ウム・・」と一唸りで一瞥するだけのような気がします。

投稿: スロー人 | 2008年8月 2日 (土) 21時59分

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